いろいろな情報や、考えなど、日々思う事をコラムとして追加していきます。
興味のある内容がありましたら、お時間のある時にごゆっくりお読み頂ければ幸いです。

DDPって何?

DDPとは「Disc Description Protocol(ディスク・ディスクリプション・プロトコル)」の略称です。
この「DDP」というものがよくわからないと、時々聞かれることがあるので、
簡単ですが私がわかる範囲で解説しますね。

日本レコード協会のホームページには「CD用マスタDDPファイル互換性ガイドライン」というものがありますが、
これを読んでもはっきり言って、なんのことやら、まったく理解出来ないと思います。

本当に簡単に説明してしまえば、「データファイル形式の、CDプレス用マスターの納品フォーマット」
という一言で済んでしまうようなものですが、まぁ、記録媒体に依存しないファイル形式ですので、
記録媒体に依存しない、ということは、データそのものをオンラインで、プレスに送ったり、
大手レコード会社などでは、サーバーでプレスマスターを管理したりすることが出来るのです。

実際には、日本では、まだまだDVD-Rなどに書き込んで納品という場合はとても多いです。
海外などでは、これを、そのままデータ納品ということも多いようでして、日本でも、増えてきましたね。

そして、実際にどのようなファイルなの?って、ファイルそのものを見たことがなければ、
闇中のもの、いったいどんなものなのさっ?って思いますよね。
DDPファイルはWavとか、AIFF、MP3とか、そういったファイルとは違い、
一つのフォルダの中に幾つかのファイルが生成される、ファイルセットなのです。
そして、DDPには以下の4つのパートを含まなければならない、、、ということになっています。

1、音楽イメージ (.DATファイル)
2,DDP識別子 (DDPID)
3,DDPストリーム記述子 (DDPMS)
4,サブコード記述子 (PQDESCR)

これらの細かい説明がまた難しいところなのですが、音楽イメージというのは、
曲間を含めた一つの作品の音ファイルそのものというように理解してください。
これには、PQやPOS、ISRCなどの情報はまったく入っていなく、音だけのファイルです。
以下、DDPID、DDPMS、PQDESCRは、DDPのVer.(現在は、ほぼVer.2.0)や
POS、ISRC、PQコードなどの情報を含むデータファイルということになります。
最低、これだけのデータが入っていなければならないのですが、
実は、DDPファイルは、作成するソフトウェアによって、出来上がるファイルの数が違うのです。
最近多いのが、「CHECKSUM」。これは、DDPを作成した時に、ソフトウェアで検証作業をする時に、
「問題なく作成できましたよ」というファイルになるようですね。
それから、次いで多いのが「TEXT.BIN」これは、テキスト情報になるのですが、
所謂、「CD TEXT」と呼ばれるもので、最近のソフトウェアは、CD TEXT対応というものが多く、
そこにテキスト情報を入れてしまう人が結構多いようですね。
マスタリングエンジニアは、実は、CD TEXTはトラブル防止のため、
「プレス工場に直接テキスト情報を伝えて、入れてもらってください」という対応を取る方が多いです。
私もそのようにしています。
ですが、昨今、安価なDDPを作成出来るマスタリングソフトも多く、
マスタリング予算が取れない場合には、レコーディングエンジニアさんや、
アーティストさん自ら、プレスマスターを作れるようになり、
テキスト情報を入れたためにトラブルが発生したりすることもあるようで、
どういうトラブルかというと、大抵は、日本語を入れてしまうことによるものですね。
CD TEXTは、多くのソフトウェアで日本語に対応していないので、
ソフトウェアだけ見ていると日本語でちゃんと表示されていて問題がないように見えますが、、、
実は、文字化けしてしていますので、それに気づかず、工場に納品してしまうというようなこともあるようです。
そして、何故そういうことが起こるかというと、ソフトウェアによっては、
DDPファイルの出力は出来るけど、読み込みが出来ない、PQシートが出せないなど、
そういうのソフトも多く、最終的な確認が取れないので、ソフトウェアを信用して、そのまま納品してしまうのですね。
他にも、データにエラーが発生していたなど、時々、そういうようなトラブルも耳にします。
機械は万能ではないので、パソコンやソフトウェアを完全に信用して、
最終チェックをしないと、結構ややこしいことになったりしますので、要注意!!です。
マスタリングエンジニアは、その辺りをよくわかっていますから、
絶対に最後のチェックまで気を抜かないですね。
DDPの読み込みが出来ないソフトウェアを使っている場合は、
別途、読み込み可能なソフトウェアを使って、PQの位置など、間違いが起きていないか、
そして、全聴チェックなど、必ず最終チェックを行います。
DDPファイルを作成したら、こんな変なファイルが出来上がっちゃったんだけど、、、なんて話も聞きますが、
ソフトウェアによって様々に出来上がるファイルに関して、私も全てを説明は出来ません。
ですが、毎回同じファイルセットが出来上がるなら、そのソフトウェアが生成するファイルセットは
そういうものなのだと理解して、毎回きちんと、ファイルセットが問題なく出来上がっているのか、
フォルダの中を確認するのが重要ですね。
細かいファイル一つ一つは開発者に聞かない限り、全てをわかっている方は、そうそういませんので、
自分の使っているソフトウェアが生成するファイルにはどういう名前のものが入っているのか、
きちんと把握しておく必要があると思います。
さて、今回は、とっても簡単な「DDPについての解説」でしたが、
大抵のページには、たぶん、ここまでの解説さえも載っていないと思いますので、
少しは参考にしていただけたのではないかと思います。

エンジニアの耳 Vol.2

以前に、「エンジニアの耳」というタイトルのコラムを書きましたが、、、「どうしたら、そんなに耳が良くなれるのですか?」という質問があり、Vol.2 ということで、少し、書いてみることにしました。
極論を言えば、「訓練」以外になく、とにかくこういったお仕事は、
いろんな音源を聴いて、仕事をしていく中で、耳が鍛えられていくわけです。
どんなお仕事でも、そうですよね。その道のプロになるためには、
とにかく、場数を重ねるとか、訓練、練習、いろいろとあるかと思いますけど、そういった積み重ねなんだと思うのです。
そして、このコラムを読んで下さっている方の中で、これから、マスタリングエンジニアを目指したい方へ
特にお伝えしたいのは、生の楽器、演奏を聴く、ということです。レコーディングエンジニアの方って、
演奏そのものを収録するわけですから、(打ち込みものが中心の場合は除く、、、)生の楽器の音、
いろんな楽器の音を聴く機会って、たくさんあり、、、もちろん、それがお仕事なんですけど、
マスタリングの場合、ミックスが出来上がった音源を元に、サウンドを調整していくわけです。
実際に、世の中にある、すべての楽器を網羅するのは、なかなか厳しいですけど、普通の編成のオーケストラの音、
ストリングスや、管楽器のスタンダードな音、ピアノの音、ギターの音、様々な楽器の演奏をいろんなホールで聴くことによって、
その楽器の特性やホールによっての音の響き方の違いなど、いろんなことがわかってくるのですよね。
私は、クラシックはやらないよ!!って人でも、クラシックやジャズなど、生楽器の音をホールなどで聴く、
ということがとても重要だと思っています。
CDなどの決まったスペック、形に収まった音だけでなく、そういった実際の音、鳴り、響きを体感することで、
耳は自然と鍛えられていきます。ただ単に音を知るってだけでなく、グルーブ感や、演奏から出て来るパワーのようなもの、
そういったものを体感するというのも大事ですよね!
そういうところから、実際のマスタリング作業で、どういった引き出しを持って来れるか、、、ということにも、
繋がっていくのだと思います。
「耳」については、第1回でも、いろいろと書かせて頂いています。
こちらの方も読んでみてくださいね!!

ダウンコンバートとアップコンバート

たまに聞かれるですが、「192KHzでミックスしたんですけど、96KHzに落として、音源をお渡しした方が良いですか?」いえいえ、192KHzでミックスしたのでしたら、192KHzのファイルで持ち込んで下さい192KHzでミックスしたのには、それなりの理由があると思うのです。だって、プラグインもあまり使えないですし、いろいろ制約がある中、192KHzPCMの音が良いと思ったわけですよね?!マスタリングには、最終TDでOKだと思った音源をそのまま持ち込んで欲しいのです。最終的なCDフォーマットへの変換は最終段階で落とすのが、最善を尽くせるのだと思っています。
ダウンコンバートしたら、その前のスペックに存在していた空気感などは、確実に失われます。マスタリングでは、192KHzで頂いた音源でも、プラグインだけでマスタリングをするわけではないので途中過程でアナログ機器を通したりして、TDで上がってきた音源の空気感、質感などを大切にしつつ、CDフォーマットで聴く時に気持ち良く聴いて頂けるように、サウンドを調整していきます。
では、アップコンバートは???基本的に、私はオススメしません。元々48KHzの音源を、例えば、「96KHzにアップコンバートしました!!!」
、、、それって、何の意味があってそうたんでしょうか?と、聞きたいのですが、最後にアップコンバートするなら、何故、最初から、そのスペックで収録〜ミックスしなかったんでしょう??
そもそも、すでに失われているものは、残念ながら、アップコンバートしても戻らないのです
ですから、意図するものがない場合には、ミックスしたそのままのフォーマットでTDして、持ち込んで欲しい、、、と思います。最近は、ハイレゾ配信用とCD用と両方のマスタリングを頼まれることも多くなってきているので、初めからハイレゾ配信を視野に入れているのなら、配信を予定しているそのフォーマットで収録〜ミックスすることをオススメします。
ただし、、、私の場合、「意図的に、ある一定の効果を狙ってアップコンバートする場合」もありますマスタリングの過程で、DSDを通すことで、音の広がりが得られる場合があるのですよね。とは言え、ないものが出てくるわけではなく、乗せるお皿が大きくなった、といった微妙なことなんですが。
受け売りな表現なんですが (^^;) 、アップコンバートするっているのは、「例えば、100万円が入っている小さい鞄があったとして、それを大きな鞄に移しても100万円の価値は変わらない」っていうことなんですが、キャパとしては、鞄の大きさが変わるので、その部分が少し広がるだけ、余裕が生まれるだけ、ってことです。
以前、アナログテープに一度Recして、、、という手法を取られるエンジニアさんもいらっしゃいましたが、(今は、良いテープがほとんど手に入らないので、あまりやらないかもしれません)効果は違うかもしれませんが、同じようにその過程でしか得られない効果を狙う、ということで、実際には、元々、DSDで録られた音源でなければ、そのスペックの音にはならないわけですけど、音にちょっとした変化をもたらすことが出来て、その効果が良い、と思う場合にこういった手法を使う、、、ということです。
今、世の中、音の世界では、いろんな種類のファイルフォーマットがあり、そういったファイルフォーマットのスペックの違いについてきちんと理解しつつ、どう使い分けるか、どこを目指しているのか、、、そういったことをしっかり考えて、作品創りをするのが、素晴らしい作品を生み出すことになるのではないでしょうか?
私が、「アップコンバートする場合」については、皆さん、いろいろとテストしてみて、サウンドを聴き比べて、考えてみてくださいね!!!

料理と音作り

私は、外食もすることはしますけど、おうちご飯は結構好きですなんですよね。何故って、やっぱり美味しいものを食べたいという欲求からでしょうね。食事を美味しく食べられるっていうのは、とても気持ちを豊かにしてくれますよね。素晴らしい演奏、音楽を聴いて豊かな気持ちになることと、美味しい食事で豊かな気持ちになること、とても共通するものがあると思っています。
もちろん美味しいレストランもたくさんありますけど、自分で料理をする時、いろいろと発想考えます。もちろん、基本があってからこそ、そこから発展して美味しいものを作っていけるのです。これは、音楽制作、エンジニアの仕事にも共通する発想だと思っています。
たまにFacebookで、料理ネタもアップしていますので、レシピは載せてないですけど、こちらも普段見て頂いている方には、見た目で好評を頂いているようで、、、ありがとうございます♪
私が特に大好きなイタリアンですが、例えば、パスタなどでは、まず、基本は、冷えたフライパンにオリーブオイルと唐辛子、ニンニク(刻む又は、スライスや潰したもの)を入れて、弱火でしばらく、ゆっくり香りを出しながら焦げないように温めます。これは、基本的な作業、「アーリオ オーリオ」とい言います。
唐辛子はあまり長く入れていると辛くなるので、適当なところで、ポイっと出しちゃいます。
さて、そのパスタの具材ですが、これを考えるのが楽しかったりするんですね。何と何を組み合わせてみようか、、、とか、彩りなども含めて考えます。使いたい食材があれば、それに何が合うかを考えます。もちろん、ゴールデンコンビの定番な組み合わせで作ることも多いですけど、あまり使わない食材の場合は、食感やそれが持つ味などから、組み合わせ、味付けなどを考えます。
和食でもそうですね。基本があって、そこから、いろいろと考えるわけです。食材の特徴を生かして、どのタイミングで入れるのかとか、そういう順序も考えます。
すでに、最終形をイメージしていますから、どう料理するか、隠し味など、味付けのちょっとした加減、どう美味しそうに盛りつけるか、そういったことをいろいろと考えます。
さて、音楽の話ですが、レコーディング、ミックス、マスタリングなど、エンジニアの仕事も同じく、基本的なことを元に発想を広げていくっていうのが大事ですよね。今回はこうしてみようとか、ちょっと違うことをトライしなければならない場面がある時でも基本があって、そこから、どう発想を変えていくか、広げていくかってことで、料理と共通するものがあると思います。音を聴いて、ミュージシャンやプロデューサーさんの意向など、諸々勘案して、アプローチを変えてみることもあります。
事前にいろいろとテストしてみたり、現場で考えなければならない場合もあったりと様々ですが、作品を創る上で最終形をイメージしながら、それをどう創り上げていくかってことを考えるわけです。
そう考えると、料理も音楽の仕事も同じように面白いですね
良いチームワークでその作品に関わった皆さんと、お互いに素晴らしい作品が出来上がったと言える時の感動って、美味しい料理を頂いた時の感動と同じだと思います。
素晴らしい音楽と美味しい料理に、美味しいお酒で乾杯!!
皆様も、常に素晴らしい音楽と美味しい料理と共に、素敵な毎日を送ってくださいね!

プラスとマイナス、、、イコール?

最近、コンポーザー、Rec & Mix エンジニアの方など、音楽制作に関わる方達と話をしている中で、ふむふむ、なるほど、そうだよね!って思う時の共通点、、、今回は、そんな話です。
先に、、、この話の中で、マイナスって決して悪い意味では使いません。マイナスイオンってありますよね。「マイナス」って悪い意味だけとは限らないんですよね。
例えば、まったく音楽とは関係ないですけど、シャンプーとコンディショナー(又はリンス)。シャンプーはプラスでコンディショナーはマイナスなんですって。それで、シャンプーでプラスイオンになった髪を、コンディショナーのマイナスで中和する。そうすると髪が落ち着くそうで、私の場合、やっぱりそれはとても実感するんですね。髪を洗ってサッパリしても髪はゴワゴワした感じ、、、だけど、コンディショナーで馴染ませるとサッラサラ~に落ち着いていい感じ♪
…てことで、話を音楽制作に戻します。
最近は、アレンジャーの方やミキシングエンジニアの方、もっと極端な例では、ミュージシャンの方が自分達で最後まで仕上げてしまうことも多いかと思いますけど、音楽制作の過程で、いろんな専門職の方がそれぞれの立場で関わって制作していく時、最終目的地点は同じでも、その場その場では、それぞれ違う目線で見て(聴いて)いるんだなぁ…と、話をしながら思うのです。だけど、結局辿り着くところは、実は同じ方向を見ていたりするんですよね。
それって、それぞれの過程を通っていく中でプラス、マイナスを繰り返して、最終形を、同じ方向をお互いに見ながら、最後にちょうど良いバランス、サウンドが出来上がる、、、そんな感じじゃないかなぁ…って思うのです。まぁ、たまには制作チームの方向性が上手く合わないこともあるでしょうけど、ガッチリ合うと、こんなに素晴らしいことはないってくらい良い作品が出来上がる♪これは、もう、とってもハッピーですよね!!
今は、MP3とか、曲そのものを聴いて楽しめれば、音の良し悪しは、あまり関係ないって人もいるかもしれませんが、ミュージシャンにとって、やっぱりせっかく予算や時間をかけて作り上げる作品、、、カッコいいと思ってもらえるサウンドで聴いてもらいたいっていうのが本音ではないでしょうか?
散歩していても、目に見えるもの、家なんかだと、あぁこの家、素敵だな♪ 、、、とか、料理なら、レストランで綺麗に盛り付けられた美味しい料理を食べた時の幸福感、、、そういう見た目や味覚には、とても敏感で、お金も使うけど、聴覚には鈍感(ごめんなさい)って、ミュージシャンやその制作に関わっている人達からすると、とても残念なことじゃないかって思うのです。
良い音、作品をエンドユーザーに聴いてもらいたい、、、そんな思いで、それぞれの専門職の人達が、日々、切磋琢磨して、そして、良い機材があれば導入して(機材やプラグインもそれを効果的に使いこなせなれけば意味がないので)それを、その工程の中で、どう使うのかを判断することで、最良に力を発揮するのです。
もちろん感性だってとても重要ですけど、技術を磨くって、なかなか簡単じゃないし、機材の投資も大変なんですよね。もう、業界、皆さん悲鳴上げてます(^^;;
それでもやっぱりこの仕事に拘るのは、音楽が好きで、より良い作品、サウンドを追求していくことが好きなんですね。
それぞれのプロが、お互いのプラス要素とマイナス要素を上手く混ぜ合わせていけた時に、ガチっとハマった、カッコいいサウンドが出来上がるんじゃないかって、そう考えています。
ただし、一番大きいのは、やっぱり、ミュージシャンの方やプロデューサーさんが、明確な最終形をきちんとイメージ出来ているかどうかってことですよね。その最終形に向けてプロの力が結集して、エネルギーを最大限発揮した時のサウンドは、素晴らしいものになるでしょう。

エンジニアの耳

私達エンジニアという仕事は、細かく分けるとレコーディング&ミキシングエンジニア、マスタリングエンジニア、PAエンジニア、MAエンジニアなど、それぞれのプロフェッショナルのエンジニアがいます。
その中でも、アーティストさんの作品創りに関わる音専門のエンジニアは、レコーディング&ミキシングエンジニア、そして、私の職業でもあるマスタリングエンジニア。
レコーディング〜ミキシングを担当するエンジニアさんは、その時々で両方を担当したり、レコーディングだけ担当したり、(「取り逃げ」なんて言ったりしますけど(笑)、、、)、ミキシングだけを担当したり、アルバム制作によって、様々ですが、最近は予算の関係でマスタリングまでやってしまうエンジニアさんもいらっしゃるので、マスタリングエンジニアとしては、厳しい世の中になってきちゃいましたね。
以前は完全分業だった、このマスタリングという作業ですが、DAWの発展で、シュミレーション系のエフェクトも多く、比較的誰でも最終音源まで創りやすくなった、、、というとちょっと語弊があるかもしれませんが、プロの領域が曖昧になってきたという事実はあるかと思います。
実際、レコーディング&ミキシングエンジニアにしても、以前は大抵、まずは、どこかのスタジオに入社して先輩エンジニアに怒られながら、そして、たまには遅くまで飲んでいろいろな話を聞かされながら、成長していくというのが、普通のことでしたね。
今では、ProToolsが使えれば、比較的誰でもエンジニアになれるチャンスは転がっていて、若くしてすぐに独立される人も多いと思います。まぁ、それが良いかどうかは置いておくことにして、前置きが長くなりましたが、今回は「エンジニアの耳」という話です。
マスタリングエンジニアの私が、レコーディングやミキシングエンジニアさんとお話をしている中で、「あー、なるほど、聴くポイントが違うんだなぁ、、、」と感じたこともあり、、、とは言え、最終的に目指す方向は同じなので、そのアプローチに向けて、お互いに補完し合っているのだと思う事は結構あるのです
ミキシングエンジニアの方は、個々の音に対して音決めをしながら最終的に一つの楽曲を仕上げていくので、比較的、大胆にサウンドを決めていくことが多いようですね。マスタリングでは、大胆なイコライジングやサウンドを大きく変えていく場合もありますけど、多くの場合は、かなり繊細な手法でサウンドを調整するので、なかなか音の変化がわかりづらい場合もありますが、最後に聴き比べると、音圧だけでなく、ミックスとのサウンドの違いに気がつくと思います。
これを読んでくださっている方には、どのような調整の仕方をしているのか、興味があって読んでいただいているかのだと思いますが、ミックス音源をぱっと聴いた感じでは同じようなサウンドに仕上がっているように思えるものでも、実際にはそれぞれ違いがあるので、それをマスタリングで、、、例えばHiを調整しようとした場合でも、手法は、その楽曲により異なってきます。
高域をのばしたいと思うような場合に、一概に、Hiを上げれば良いということでもなく、Lowの調整でうまくまとまることもあり、そのやり方についても、どの辺りをどういうカーブで、どう調整するのか、、、そういう判断は、経験によって培われるので、簡単にアドバイスさせていただいて、はいよって簡単に出来上がるものでもないのです。
マスタリングでは、もちろん、2chステレオ(サラウンドを除いて)音源に対しての音調整ですから、これを、ミックスの修正のように、ボーカルだけ上げて、、、なんて言われても、そう簡単な話ではなく、その帯域を上げれば、そこにかぶっている他の音も一緒に影響してくるわけで、その辺りはミキシングエンジニアの方がきちんと仕上げてくださると、マスタリングでの調整は、楽曲全体、又は、アルバム全体の調整ということになりますから、マスタリング段階では、「最後に少しブラッシングさせていただく」という作業に徹することが出来ます。そして、そのような観点でマスタリングに臨んでいただければ、お互いのコミュニケーションがとてもスムーズですね。ミックス音源は、パッツンパッツンのコンプガチガチにかかったサウンドですと、調整しようと思っても、どうにもならなくなりますから、その辺りのサバ読みがうまいミキシングエンジニアさんの音源は、とても作業がやりやすいですし、方向性も分かりやすいのです。
では、そのようなミキシングエンジニアさんがマスタリングエンジニアに求めることって何でしょう??と思うのですが、やはり、最後のジャッジということだと思うのですよね。全体のサウンドのまとまり方や、適正な音圧、そして、アルバムを通しての全体の流れ、そういったものを総合的にまとめていくということが求められているのだと思っています。
そういう意味では、最終的な目指すところのサウンドは同じでも、手法の違いがあるという意味では、細かなところで、音の聴き方、捉え方の違いっていうものが存在しているように感じます。
訓練をきちんと積んでいるエンジニアは、「Golden Ear」と言われるようにしっかりとしたサウンド創りのための耳を持っていますが、それを、それぞれの立場で生かしていくというのが、作品創りの中で重要なことだと思います。
そして、マスタリングでは、もちろん、最後の検聴という作業もとても大切で、ここで最終チェックをきちんとしないと、トラブルを招く危険性は大きいので、細かく最終マスター音源にトラブルが起こっていないかをチェックして、プレス工場へと向かうのです。この最終チェックに対する耳は、マスタリングエンジニアが特別に秀でている部分でもありますね。たまに「地獄耳」なんて言われたりしますけど、、、(笑)
なかなか、わかりづらいマスタリングの世界ですが、少しでもマスタリングという行程が、音楽制作に関わる皆様、そしてまた、作品を聴いてくださるユーザーの皆様にとって、身近であり、また大切な行程なのだということが伝わってくださると嬉しいですね。

音楽制作におけるストーリー性 Vo.2

今回は前回の続きになりますが、音楽制作におけるストーリー性というテーマにおいて、特にマスタリング作業について、もう少し掘り下げて話をしてみることにします。
マスタリングでは、最終的な音調整と曲間によって、最後にアルバム全体のストーリーを完成させることになりますから、全体の流れを自然に聴くことが出来るようにまとめていきます。
このマスタリング時に、判断を間違えてしまうと、アーティストさんにとっても、作品を手にしたユーザーさん、ファンの方達にとっても、すご〜く残念なものになってしまいますよね。
最近は、予算の関係で、ミキシングエンジニアの方が最終マスターまで完パケてしまうプロジェクトも多いですが、マスタリングって、ただプレスマスターを作成します、、、という作業ではなく、マスタリングはその分野でプロですから、どのように作品を完成させるべきかという判断や細かい校正のような作業に長けているわけです。
また、そのアーティストさんや作品により、どのような環境で聴かれることが多いのかなど、そういったことも考慮しつつ、ラジカセからラージスピーカーまで、いくつかのモニター環境で、最終チェックをするのです。
ミキシングの現場に立ち会ってみると、ミックスとマスタリングとでは、イコライジングなどの違いを実感することが多々あります。そして、マスタリングでどのような作業をしているかということがわかっていらっしゃるミキシングエンジニアの方は、最終ミックスの仕上がりがとても素晴らしいですね。最後のストーリー像がはっきり見えているかのようなサウンドで仕上げてくださるので、最終段階でのアプローチの判断がしやすいです。
アルバムを通して聴いてみると、とても違和感があったり、すごく気持ち良く聴けたり、うわっ!!なんでこうなっちゃったの?!!って思ったり、いろいろですけど、せっかく予算と時間、労力を使って、多くのスタッフさんや、場合によってはサポートミュージシャンの方、様々な方が関わって精一杯良い作品を創ろうと、時間を惜しまず頑張っているのに、どこかで手を抜いたり、妥協したり、、、そういうのって、音楽でなくても、作品としてはどこか伝わらないものがありますよね。だけど、関わるスタッフが、一丸となって出来上がった作品には、ガツンッ!!!とくる何かが存在するのだと思うのです。例えば、一人で作品を創り上げる芸術家の、、、絵画だったり、彫刻だったり、、、そういうものでも、(自己満足というのでなく)魂が込められている素晴らしい作品には、何か、ある種のパッションを感じますよね。音楽作品においては、サウンドや曲間など、アルバムを通してどう自然な流れで聴いてもらえるか、、、時には、ハッっとする感じがあったり、そういうものも含めて一つの作品が完成するのです。前回書いた「メリハリ」がしっかりしている作品には、そういったものが必ずあります。
音楽制作においてのストーリー性って、様々なプロの方々の行程を踏みながら、最終的な作品として完成するものだと思っています。特にアルバム制作においては、全体を通してストーリーがきちんと出来上がっているかどうか、、、そういう観点で、作品を完成させる訓練を積んでいるのがマスタリングエンジニアであると思っています。
マスタリングという作業がよくわかっているRec&Mix Engineerの方からいただいた言葉として、「自分で最後まで完成させることは出来る。だけど、ここの作業をキミに任せるのには、意味がある。自分にはないプラスアルファを求めて、そして、それを今のところしっかり返してくれるから、頼んでいるんだ」と、、、そして、「それが、なくなったらもう頼まないからね!!」という一言にいつも奮起して、他のクライアントさんにも常に同じように応えていくべく、日々、探求しています。
今回は、ざっくりとしたイメージを言葉にしてみましたので、ちょっとまだマスタリングについて捉えづらい部分もあるかと思いますが、マスタリングの細かい作業については、CD、音楽配信、ハイレゾ等々、様々な完成形態の中、基本的に同じこともあり、またちょっと考え方を変えるべきこともあったり、そういう具体的なことを、これからまた少しずつ 皆様にわかりやすいように、発信していきますね!

音楽制作におけるストーリー性 Vo.1

一つの音楽作品を制作する時、アーティストさんが、創ってきた作品達にはストーリーがあると思うのです。それら一つ一つの楽曲をCDなど、アルバムという形で作品にする場合、それにもまたストーリーが出来上がると考えています。もちろん、それぞれの楽曲は違うテーマだったりするでしょうけど、アーティストさんやプロデューサーさんが最後に曲順を決める時には、楽曲をどのように並べて、ストーリーを創っているか、つまり作品の流れを創っていくか、、、ということを考えますよね。ライブの時にもそうだと思いますが、ノリの良い楽曲、バラードのようなしっとりとした楽曲、それらをどういう順に聴いてもらうか、、、というのが、音楽制作の過程(ライブも含む)で、重要且つ難しくもあり、また、ストーリーを創り上げる楽しい時間でもあるかと思うのです。
音楽制作では、最初にアーティストさんや、作詞家、作曲家さん、アレンジャーさんなど、まずは、楽曲創りに関わる皆さんが、一つ一つの楽曲を創り上げて、または、創り溜めた楽曲達を、今度は、CD制作という形で、レコーディングし、ミキシングし、個々の録音物が出来上がるわけですね。
マスタリングエンジニアはそれらの楽曲を客観的に聴きながら、アーティストさんやプロデューサーさんの考える方向性を聞き、その情報から、その作品の世界を読み取り、そして、最終的な音創りや曲間の調整などをしていくわけです。
ミキシングエンジニア、アーティストさん、プロデューサーさんは、すでに何度も聴いていて、それぞれの楽曲にかなり入り込んでいるので、時間を置いて客観的に聴き直すことはあっても、作品を通して並べていく段階で、マスタリングエンジニアは、多くの場合、その時に初めてそれらの楽曲を聴くわけですから、客観的にジャッジが出来るのです。
そして、そのジャッジについては、もちろん年間を通して、多くのアーティストさん、ミキシングエンジニアの方の音を聴いているわけで、そして、大概のアルバムは1日で終わりますから、そういう中で、年間何日も、そして、何年もかけて多くのミックス音源を聴いて訓練を重ねて、どう判断すべきか、そして、作品の世界を理解して、アーティストさん、プロデューサーさんの考える世界を広げ、満足していただける作品を創り上げていく、、、ということを常に意識しています。
プロデューサーさんはもちろん、作品制作に慣れていて、マスタリングにもよく立ち会われるアーティストさんは、サウンドの方向性がかはっきりしていますから、こちらも、最終的なサウンド創り、アプローチの仕方など、コミュニケーションをしっかり取ることで、お互いの気持ちを同じ方向に持っていくという作業になっていくわけですが、音楽制作に経験が浅く、マスタリングという作業もあまりよくわからないというアーティストさんの場合、マスタリングエンジニアの経験により、アドバイスさせて頂き、最終調整をしながら、マスタリング前とマスタリング後の音を聴き比べてもらい、どのような違いがあるのかを聴いて頂いて、サウンド創りを進めていきます。
私は、作品創りには、「空間」や「メリハリ」というものが必要だと思うのです。これは、ミキシングでも必要な作業ですが、アルバム全体の流れの中で、それらの「空間」や「メリハリ」を創りつつ最終的に校正していく作業が、音楽制作の中では、「マスタリング」と考えて頂ければわかりやすいかもしれません。もちろん、この過程では校正ですから、音創りをしながら、持ち込まれたミックス音源に問題が発生していないかどうかのチェックも含め(文章なら誤字、脱字などのチェックのように)重箱の隅をつついていくような、細かな音の聴き方もしていきます。これは、書籍や新聞、ニュースの配信などでダブルチェックを行うようなものですね。そのような音の聴き方もしていますから、マスタリング最終行程での全聴チェックでも、自分自身がマスタリングした最終マスターでトラブルが発生していないか、特に気をつけて聴くことが出来るのです。これは、簡単なようで、一朝一夕の訓練ではなく、長年の仕事の中で培っていくものですから、マスタリングエンジニアの諸先輩方でも、どんなに経験を積んでおられる方でも、ちょっと油断すれば、聞き落とすような些細なトラブルも実は発生している場合があり、これは、ちょっとしたきっかけで、ユーザーさんが気づき、レコード会社さんにクレーム、、、という事態にも繋がりますから、マスタリングという最終工程は、たとえ、ミックスの段階で発生していたトラブルだったとしても、責任は、大概マスタリング行程に降りかかってきますから、結構、責任重大ですね。実際には、プロデューサーさんやディレクターさん、そして、アーティストさんへも確認用の試聴ディスクをお渡ししているので、一緒に検聴作業とうことで、お互いに最終チェックをしましたよね!という保険を取っていますが、やはりここはプロですから、そこで失敗というのは、信頼を失うことになります。
空間と言えば、プロのアレンジャーさんのお仕事も、いつもとても素晴らしいものだと思っています。一つの楽曲の中で、空間がないガチガチ、詰め放題のアレンジと、ちょっとした空間、ハッとする瞬間があるアレンジとでは、聴いている時のワクワク感が違うのは、書籍や映画など、そういった作品と同じようなところがありますよね。
もちろん、プロのレコーディング、ミキシングエンジニアの方は、また、その分野で力を発揮してくださって、ミキシングがとても良く仕上がっていると、マスタリングでは、より繊細なジャッジを求められ、そして最終マスターを創り上げていくことになるのです。
それぞれの専門分野の方が大集結した作品というのは本当に素晴らしいものだと思います。

さて、今回のコラムは、Vol.1とうことで、この辺りで、次回へ持ち越しにさせて頂くとにします。次回更新は、比較的早く出来るかと思いますので、お楽しみに!!!

JANコードとISRC

マスタリングでは、プレスマスターを作成する時に、ISRCとかJANコードっていうものを入力します。
それで、よくこれらについて比較的多く質問を受けるので、今回はJANコードとISRCについての簡単な内容をテーマにしてみました。
JANコードというのは、要するに様々な商品に付いているバーコードですね。商品の識別番号です。マスタリングの現場では、「POS」と呼んでいます。正式には「JANコード」が正しい呼称で、「POS」というのは、バーコードを使った集計システムのことです。CDの裏側や帯などに付いていますので、見て頂ければすぐにわかります。この取得については、ISRCの説明の後でご説明しますね!
ISRCとは、「International Standard Recording Code」の略称で、日本語で「国際標準レコーディングコード」といいます。(JASRACホームページからそのままの言葉で流用させていただきました)どういうものかというと、レコーディングされた音源の識別に使われる国際標準コードで、バージョン違い(リミックス含む)やタイム違い、別のアーティストさんがカバーした場合などすべて含めて、それぞれの楽曲に対して個別に付けられる識別番号です。レコード会社さんなどでは、社内管理などに利用したり、Music Forestのようなサイトなどでは、ISRCによる楽曲検索も可能です。同じアーティストさんが歌っている場合でも、バージョン違いなら別のコードが付くことになります。どういう構成になっているかというと、まず、最初に国名コードが入るので、日本の場合は「JP」が必ず最初に付きます。そして、次に登録者コード、例えば、「AA0」といった風に3桁、次に年次コードが2桁なので、2015年の場合は「15」ですね。(今のところ、1015年はないので問題ないですが、、、3015年の頃にはどうなるんでしょうね!(^^;))そしてその後にレコーディング番号5桁が続きます。この5桁には「00000」は除くということになっています。だから、あるレコード会社でその年に一番最初に付与される番号は「00001」ということになるのです。そして、最近はこのように通し番号が多いですが、以前は、最初の4桁を通し番号で、最後の一桁をヴォーカルもの、カラオケ、インスト、などの識別用に使っていたレコード会社もありました。最近はそのような区分けをしている会社はほぼ見かけませんね。
そして、これらのコードですが、まず、JANコードについては、事業者登録をしなければならなく、これには、早くても10日~2週間程かかりますので、早めの準備が必要です。そして、どういった品目を扱う事業者なのか、年商はどれくらいとか、登録申請書に、細かくいろいろと記載しなければならないので、ちょっと面倒です。Winns Masteringでは、事業者登録をしているので、もし必要なインディーズのミュージシャンの方は、ご利用くださいね!!
そして、ISRCコードですが、こちらは逆に登録する人、会社は、その楽曲について権利を数%でも持たなければいけないのです。そのため、Winns Mastering でも取得は可能ですが、こちらで申請した楽曲に対して権利が発生してしまうため、今は個人でも簡単に取得出来ますし、ご相談があった場合には、ご本人や、バンド単位での取得をお勧めしています。もし、販売に関して一緒にプロモーション活動をするなど、そういうケースがあれば、歩合を協議の上、こちらで取得することは可能です。JASRACへのISRCの取得にはUプランとJプランがあり、個人で登録する場合は「Jプラン」になります。1レコーディング単位で324円。「Jプラン」で申請した場合のISRCコードの最初は、「JPZ92」までが共通で、その後は「年次コード」「通し番号5桁」が続くようになっているようです。
以上が、音楽制作におけるJANコードとISRCの説明と取得についての解説です。


ハイレゾって何?

昨今、ハイレゾブームと言っても過言でない音楽業界において、過去の音源から最新作まで、配信やCD/DSDハイブリッド盤など、いろいろな形で、作品が創られていますね。では、ハイレゾっていったいどういうスペックならハイレゾなの??ってことで、一応、レコード協会においては、44.1kHz16bitつまりCDを超えるスペックであれば、ハイレゾということになるそうですが、、、私としては、ハイレゾとして作品を出す以上、88.2kHz24bit以上でないとどうもハイレゾとしてのサウンドを楽しむというレベルには達しないように思います。過去の音源についても、44.1kHzのデジタルマスターからのアップコンバートから、96kHz24bitで配信、、、なんていうのは、業界批判のようで申し訳ないですが、どうも、エンドユーザーの方達を誤魔化しているように思えてならないのです。アナログテープがあるなら予算を惜しむことなく、オリジナルマスターからきちんとADコンバートして、アナログの豊かなサウンドをハイレゾで配信するなどして欲しいと思うのです。
ハイレゾと言っても、PCM(Pulse Code Modukation)とDSD(1bit)と大きく2種類に分かれるかと思いますが1bitってなんぞや?って思う方もいらっしゃるでしょうか?
何が違うのっていうと、PCM(※マルチビット(とは、信号を一定時間ごとに標本化(サンプリング)し、定められたビット数の整数値に量子化して記録し、記録されたデジタルデータの品質は、1秒間に何回数値化するか(サンプリング周波数)とデータを何ビットの数値で表現するか(量子化ビット数)で決まります。それに対し、1bitの場合はというと、簡単に言えば、ΔΣ変調された1ビット・オーディオは従来のPCMのサンプリング周波数より遥かに早い周期で音声信号をサンプリングし音の大小を、過去に対して現在の音圧が上がってるか?下がっているか?だけを1ビットのデジタル・パルスの密度(濃淡)で表現する方式です。
、、、と言っても、こんな簡単な説明じゃよくわからないよ!!って、ご批判もあるかと思いますが、これに関しては、いろいろなサイトに詳しく解説が載っています。それから、私のお勧めは、NetAudioの季刊誌Vol.15 に、とてもわかりやすく解説が載っています。去年、2014年に発売された季刊誌ですので、出版社の方で在庫が残っているようでしたら、こちらを購入してみてください。文化系大学出身の私が説明するよりもとてもよくわかると思います。(^^;)

マスター音源って?

マスター音源って何でしょう?
かなりざっくりとしたテーマですが、ひと口にマスター音源と言ってもマルチだったり、TD済みの2chだったり、マスタリング済みプレスマスターだったり、いろいろですが、今回マスタリング前の音源について話を進めていきたいと思います。
まずは、皆さん、マスター音源ってどのように管理されているでしょうか。テープ媒体から作業環境がProTools が中心になり、ハードディスクがマスター音源の録音媒体になって、早○年、 大容量のハードディスクに数タイトル分の制作音源を録りためたり、コンパクトにまとまるようになりましたね。ただ、その分、少し管理が雑多になってきてないでしょうか?テープ媒体だった時のように、収録されている楽曲のタイトルが箱の外側にきちんと書かれてないために、数年経ってから、「このハードディスクには、何の曲が入っているか確認して欲しいんだけど」、、、という話がわりとあります。制作が終わったら最後にきちんと収録曲について表記しておくようにした方が良いですね。そして、ハードディスクも機械です。いつ何時、壊れて使えなくなる危険性があります。DVD-R 等、別の媒体に保存しておくことは重要です。時間、労力をかけて製作した楽曲のデータは大切な財産です。バックアップを怠った結果、その大事な音源データを完全に消失してしまうということは、財産の消失です。
ところで、このマスター音源は誰のものでしょう?権利はレコード会社だったり、プロダクションだったり、といろいろだと思いますが 会社の財産であるマスターのハードディスクをエンジニアが管理しているようなことも多々あるようです。事実、レコーディングエンジニアに「あの時の音源まだ残ってる?」と確認しなければならない事態もあるようで、、、。マスター音源は権利を持つ会社の財産ですから最終的に権利元が責任を持ってしっかり管理しておかないと、時間の経過と共に音源の大捜索という事態にもなりかねません。そもそもテープ媒体だった時、エンジニアがミックスの終わったマスターテープを自宅に持ち帰り管理する、、、なんてことがあったでしょうか?それがあったとしたら、かなり問題な事態ですよね。ハードディスクになっても同じことです。エンジニアも念のためバックアップを数ヶ月は保存しておくでしょうけど、それは管理しているマスターとは別に、リテイクやトラブル等不測の事態に対応するため、と考えておくべきです。
さて、先に書いたようにレコーディングの主流がProToolsになって、問題なのはバージョンによっての音の違いや再現性の問題です。バージョンが上がることによって、昔のセッションが使えなくなってしまったり、一年前のセッションでも、バージョン違いにより音質が変化してしまったり、再現性がないという問題があります。一度ミックスした曲をリミックスする機会はそう多くはないですが、そんな不測な時でも、どのバージョンで作業したか、きちんと明記しておくと、何年か後でも対応が取りやすいですよね。仮タイトルから曲タイトルが変更になった場合も、フォルダやファイルネームをリネームしておくとか、分かるように明記しておくとか、都度、その時にきちんと管理しておくことは、とても重要です。

音楽という作品を良い環境で聴いてもらいたいという想い、、、

昨今の音楽を聴く環境は様々ですね。
CDラジカセで聴く人もいれば、立派なオーディオセットで音楽鑑賞をする人もいる。
だけど、今、圧倒的に多いのは、携帯やiPod、Walkmanなどのモバイルを使って、イヤフォンで聴く人達だろうと思います。

音楽配信で、今聴きたい曲だけをダウンロードして、繰返し聴き、そして、飽きたらデータを入替え、また繰返し聴く。パソコンには、大量の音楽データが入っているのかもしれないけれど、データが消失してしまったら、もうその曲は聴かれることはないのかもしれないし、消失するまでもなく、次から次へ新しい曲に移り変わり、古い曲は聴かれなくなるのかもしれない。
音楽産業としては、売れればそれでいいのかもしれないけれど、しかし、アーティストは、少しでも後世に良い音楽、良い音を残していきたいと思って、情熱を持って製作しているはずですよね。

そもそも、レコードやCDは、ジャケットや冊子などと一緒になって、一つの作品として完成されているものであったと思うのです。
「ジャケ買い」なんて言葉があったように、ジャケットにも芸術性があり、そこに収録されている音楽と相まって、一つの完成された作品が出来上がっている。
人間は視覚的な要素と音が結びついて記憶に残るというようなことは、よくあることだと思います。
そして、名盤といいわれる作品の多くは、ジャケットや時には製作秘話などと一緒に語り継がれてきたように思うのです。

音楽の製作の一端に携わる私たちマスタリングエンジニアも、アーティストが創り上げてきた作品をより良い音で、CD製作の最後の行程から送り出したいという情熱で取り組んでいます。

ある友人がこんなことを言っていました。「CD寿命30年説って本当?、、、だとしたら、もうすぐ30年経つCDがごろごろあるんだけど、、、。廃盤になっていて、かつ再発されないと思われるものは、今のうちにデータ保存しておいた方が安全なの?」
それで、「CDは出来るだけきちんと保管しておきつつ、念のためデータに変換しておいたら?でもMP3で保存するのはやめてね。WAV.かAIFF.か、、、」って答えたら、「MP3とかWAV.とかAIFF.とかって何??」という質問が、、、。
音質の問題だということを説明したので、その友人もそれは残しておきたい音源だから、出来るだけ良い音で保存はしておきたいよね、、との返事。でも、その友人は、「再発されるものがあるなら、いろんな大人の事情を理解しつつ便乗してデジタルリマスター盤とかまた買ってしまうなー。」とも言ってました。だけどCDにはいろんな想い出が詰まっているので捨てられないと、、、。友人にとっては、CDは大切な財産なのですね。私にとっても、もちろんそうですが。

そして、そんなCDの製作過程では、楽器ひとつにこだわり、マイクひとつにこだわり、HeadAmpにこだわり、いくつものこだわりを経て、完成されていますよね。それを、最後にちゃんとスピーカーで音を出して気持ちよく聴いてもらいたい。こだわりのひとつひとつをきちんと聴いて欲しい。そんな思いを、アーティストが、制作者サイドが、ユーザーにきちんと伝えていきたいですね。そして、まず私達マスタリングエンジニアが、それを伝えるべく、今こうして思いを書いているのです。
絵画や彫刻などと同じように、音楽もアーティストが届けたいものを音によって表現しているのですよね。
それを、ユーザーに届けるために、いろいろな人が関わって、作品を創りだしているのです。
電車等の移動の時に、MP3などの圧縮された音を聴くのは音楽のひとつの楽しみ方として、否定はしません。でも、自宅とか、落ち着いたところでは是非スピーカーで鑑賞して欲しいのです。

YouTube等を使ったライブの配信

最近よくある話ですが、You Tubeによるライブの配信。ライブに行けなかった人でも環境さえあれば、たまには無料でライブを楽しめる技術の進歩は、ユーザーにとってはとてもすばらしいことですね。
私も、あるライブの配信を知ったのが直前だったので、PCのしょぼいスピーカーでの視聴になってしまいましたが、光回線の恩恵で、映像は快適に観ることができました。友人は事前に準備をして、きちんと外部スピーカーに接続して、視聴したそうで、音が思いのほか良かったことに感動していました。やはり、そういう風に聴ければライブの臨場感が少しでも届くでしょうし、気持ち良く聴くことが出来ますよね。
その私の友人だけでなく、やっぱり素晴らしい演奏を少しでも良い音で聴こうと、外部スピーカーに接続して視聴していた人は多くいたようですね。

ここ数年、音楽にお金を掛ける人は少なくなってきたのかもしれませんが、最近チケット代がやけに高いと思うようなコンサートにも、沢山の方が足を運んでいるように、よりライブ感を感じ、より良い音を聴きたいというユーザーは多いように感じます。

いろいろな状況のなかで、イヤフォン等で音楽を聴くようなこともあるかとは思いますが、やっぱり製作の一端を担ってとしては少しでも良い音、そして環境で聴いてもらいたいし、出来ればたまにはイヤフォンをはずして、、、いやたまにと言わず是非スピーカーで聴いてもらいたい。きっと、いままで聞こえてなかった音が聞こえてくるかもしれません。
私たちはそんな思いを込めて、音作りに携わっています。

海外のエンジニアと日本のエンジニア

よく海外のエンジニアの方が音が良いとか発想がおもしろいとか言われる方がいますが、本当にそうでしょうか?欧米人と日本人の耳の違い、、、それは、主に生活環境と言語にあると言われています。
まずは生活環境。
まず部屋の作りが違いますよね。昔ながらのふすまや障子だけに仕切られた部屋で、障子をあければ縁側から庭にそのまま続いているような家屋、、、それに対して欧米のような石や土塀により仕切られた家屋、そして、欧米人は子供のころから教会に通い、そんな環境から生み出される室内の反響音に自然に耳が作られてきたのです。しかし、今は、日本の家屋も欧米の家屋も大差ないですね。ホールやちょっとした室内ステージでの演奏を聴くことが出来る機会は多くありますし、実際にそういった場所に多くの人が足を運んでます。
そして言語。
日本語のように母音がしっかりしている言語と、微妙な違いを持つ母音や実際にはほとんど聞こえないような子音などを含む英語等の欧米人が話す言語。
この違いは事実、大きいと思います。
でも、それも、日本人に克服できない問題ではありません。
英語の勉強を小さいうちから始めている人も多くなってきましたね。
それからクラシックなどの生の音を聴くこともとても耳を鍛えるにはとても良い方法です。

でも、毎日音楽を聴くのがイヤフォンでMP3などの音質の劣化したものばかりを聴いていては、良い耳は作れないどころか、良い音を判断すら出来なくなってしまいます。
せっかく心を込めて少しでもクオリティの高いものをと一生懸命製作した音楽を、少しでも多くの人にその作品のすばらしさを聴いてわかってもらいたいからこそ、スピーカーで聴いてもらいたい。
そんな風にCD製作をこれからも続けていきたいですね。

アメリカのある世界的に有名なアーティストの作品ですが、久しぶりにその方の最新のアルバムを買って聴いてみたら、とてもがっかりしました。輸入盤だったのですが、なんでこんな酷い音になってしまったのだろうと、、、。どこの国であっても、音に対する情熱や良い者をユーザーに届けたいという気持ちがなければ、当たり前ですが良い作品は生まれませんよね。
上記のCDが、「どうせMP3とかに変換してiPodとかでしか聴かないだろう」とか、「ユーザーにはわからないだろう」とか、「アーティストの名前だけで売れるだろう」とか、、、そんな考えで製作されたのかどうかはわかりませんが、残念なものにお金を使ってしまった、、、という気持ちしか残らなかったのは言うまでもありません。

最後に、、、

CDショップが減っていく現在の状況は大変寂しいかぎりですが、実際のCDの売り上げはCDショップ以外のCD取り扱い店などを含めると、悲観するような状況でもないというニュースもありましたが、これからも音楽という文化を、良い音、作品を世の中に残していきたいものですね。
そして少しでも多くの人が、良質の音を鑑賞して音楽を楽しんで欲しい、そんな発信をこれからも続けていきたいです。